ポリヴェーガル理論について紹介
ポリヴェーガル理論とは、多重迷走神経理論とも言われ、精神生理学・行動神経学者のステファン・W・ポージェス博士が提唱した新しい自律神経理論です
従来の自律神経理論(交感神経と副交感神経の交互作用)では説明のつかない体の状態を副交感神経を腹側迷走神経枝と背側迷走神経枝の働きに分ける事で説明する理論です
ポリヴェーガル理論によると、持続的な心身の機能低下は背側迷走神経枝(シャットダウン・凍りつき・引きこもりの神経)の働きによるものとされます
ゆるむの施術により、背側迷走神経(シャットダウン・凍りつき・引きこもりの神経)の働きを抑えて、腹側迷走神経(ホメオスタシス・身体恒常性を整える神経)の働きを活発化します
以下、引用(web、書籍)により参考記述を紹介
「ポリ・ヴェーガル」とは、「複数の・迷走神経」を意味し、「多重迷走神経理論」という訳語が使われることもある。ポージェス博士は、自律神経系の発達を進化を軸に考察し、私たちヒトの自律神経系には3つの神経枝があると論じた
自分堂 https://book.asahi.com/jinbun/about/ より引用
その3つとは太古の魚類に備わっていたとされる、進化的に古い迷走神経である「背側迷走神経複合体」、さらに硬骨魚の時代に現れたとされる「交感神経系」、そして、哺乳類のみに見られる新しい迷走神経とされる「腹側迷走神経複合体」である
「腹側迷走神経複合体」は、豊かな表情を作ったり、声のトーンを調整して自分の気持ちを伝えたり、相手からの友好の合図を受け取ったりなどの、人と人とがおだやかにつながり、交流するために欠かせない働きを担っている
「交感神経系」は、主に活動するときに使われ、危機に瀕すると「戦うか・逃げるか」を選択する
「背側迷走神経複合体」は消化吸収や睡眠などを司っているが、生命の危機に瀕すると、「凍りつき反応」を引き起こす。「凍りつき」の状態では、思うように身体が動かなくなり、呼吸や心拍が遅くなり、いわゆる温存モードに入る
この、戦うことも逃げることもできず、凍りついている状態にあるのがトラウマを抱える人とされる
自律神経系の役割については、従来は、消化、呼吸、性欲、生殖などといった、内臓の様々な「自律的」機能を調整する、と認識されてきました
スタンレー・ローゼンバーグ著(花丘ちぐさ訳)「からだのためのポリヴェーガル理論」 より引用
ストレスかリラックスか、という古いモデルは、交感神経系と副交感神経系のただ二つの回路しかない、という認識に基づいていました
旧来のモデルでは、交感神経系は、脅威や危険へのストレス反応において活性化する、と考えられてきました
対照的に、副交感神経系はリラックス反応の中で優位になっていると考えられ、迷走神経の機能と関連付けられていました
この自律神経系の旧来のモデルは、各界に広く受け入れられており、迷走神経は単体である仮定に根差していました
そして、実際に「迷走神経」と呼ばれる二つのまったく異なった神経回路が存在する、という事実を考慮していませんでした
ポリヴェーガル理論は、迷走神経は二つの別々の枝を持ち、二つの異なる場所から発生すること、二つがそれぞれ別々の回路を持っているという考えに根差しています
自律神経系は三つの神経回路から成る、と考えると、自律神経系の働きをより正確に理解できます
迷走神経腹側枝(リラックスと社会交流の肯定的な状態)、脊椎交感神経鎖(闘争/逃走)、迷走神経背側枝(スローダウン、シャットダウン、抑うつ行動)という、三つの回路が、ホメオスタシスの維持を助けるために、身体機能を調整しています
ポリヴェーガル理論は、自律神経系の理解に別の側面も提示します
自律神経系は、内臓機能を調整するだけでなく、これら三つの回路は、感情の状態にも関係し、それが次には行動を促進すると捉えています